ゴックン!初恋の味 (T)
「あら・・・お母さん?!・・どうしたの・・珍しいわね・・」
とある昼下がり、リビングでのんびりと寛いでいた沙希に故郷の母親から電話が掛かってきた。
「お前に高校時代の同窓会の案内状が届いているのよ・・どう・・久し振りに帰って来れないかしら?」
「へええ・・同窓会ねえ!・・・・」

久し振りに掛かってきた実家の母親からの電話を切り、リビングのソファーに腰を降ろし午後の紅茶を楽しむ平凡な主婦沙希の心は、いつしか懐かしい20年前の高校生時代にとタイムスリップを始めている。
沙希の頭の中では、懐かしい同級生達の顔が次から次へと走馬灯の様に駆け巡るのであった。
当然その中には、あの初恋の相手の・・・・・・・。

沙希は今年で38歳、斉藤由貴に似たポッチャリした体型をした人妻だ。
優しい夫と三人の子供にも恵まれ、何不自由なく暮らしている平凡な専業主婦である。
考えてみれば、故郷の高校卒業してからちょうど20年になるのだが、それを記念して、この20年間一度も開かれることが無かった同窓会が開かれることとなったようなのだ。

「あなた・・今度田舎で同窓会があるの・・帰ってきてもいいかしら?」
「ああ・・行ってこいよ・最近ご無沙汰だからな・・」
遠慮がちに同窓かの話を切り出した沙希であったが、優しい夫は二つ返事で帰省をOKしてくれたのだった。

「あら・・ハッチでしょ・・」
「キム?・・・やだ・・全然変わってないわね・・」
「ええっと・・誰だっけ?・・」
「おいおい・・俺の名前を忘れたのか?・・大塚だよ・・」
「わはは・・そうだ・・思い出したぞ・・」
当日の同窓会会場ではあちらこちらで、久振りの再会を喜び合う光景が見受けらた。

「沙希・・どう?・・お目当ての彼はまだ来ていないみたいね?」
一人で会場をキョロキョロと見渡していた沙希の側に、親友だった加奈子が近づいてきた。
「ええっ?!・・そう・・別に・・気にしてないわよ・・」
図星って感じで一瞬ドキっとした沙希であったが、直ぐに務めて平静を装うのであった。

続く

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