良妻淫母  (前編)
「あなた・・私・・やっぱり子供を産みたいの・・どうしてもだめかしら?・・」
「だめだよ・・秀人の為に子供はつくるらないって・・最初からの約束だったろうが・・」
「そうなんだけど・・でも・・私・・もう40だし・・そう考えたら・・どうしても・・」
「お前の気持ちはわくるんだが・・秀人が・・」
「わかったわ・・私が直接秀人君に聞いてみる・・それでいいでしょ・・」
とある深夜、両親の寝室から漏れ聞こえてくる話を聞きながら秀人はニンマリとほくそ笑むのであった。

秀人は母親を小さい頃に病気で亡くしており、その後父親が再婚をして今の義母美紗緒を迎えることになったのだった。
美紗緒は、いとうまい子に似て小柄で華奢な体格の為か年齢よりをかなり若く見られる。
又、もって生まれた明るい性格から周りの評判も良く、当に良妻賢母そのものといった感じの女性である。

それから数日後、父親が出張で留守の深夜のことであった。
「コンコン」
秀人君・・お夜食よ・・入っていい?」
「いいよ」
秀人の部屋に夜食を持った美紗緒が入ってきた。

「どう・・お勉強捗ってるかしら?」
「うん・・」
曖昧に答えながら、秀人は義母美紗緒の心の中を推し量りながら、美紗緒の次の言葉を待受けるのだった。

「ねえ・・秀人君・・弟か妹が欲しくない・・?」
美紗緒は秀人の傍らに立ち、机の上に開かれた参考書を覗き込むように体を屈み込むと、そのままの体勢で秀人の顔を覗き込んだ。

「要らないよ・・」
秀人は参考書を見つめたまま、突き放つように冷たく言い放った。
「ねえ・・私が・・欲しいって言ったら・・どう思う?」
この機会を逃すものかと、美紗緒は尚も執拗に義理の息子秀人に問い掛ける。

「お母さん・・そんなに子供が欲しいの・・?」
顔を上げた秀人は可愛い笑顔をつくりながら、不安げな表情の義母美紗緒の顔を見つめ優しい言葉を掛けるのだった。

「そうなの・・今までは我慢してきたけど・・秀人君も大きくなったことだし・・そろそろ解ってくれるかなって・・・・」
「おかあさんがそんなに欲しいなら・・子供をつくってもいいよ・・」
秀人の美しい顔には微かに恐ろしい魔性の笑みが浮かび上がっていた。
「本当・・?・・嬉わ・・」
以外にもあっさりと許してくれた秀人の言葉に拍子抜けしてしまった美紗緒は嬉しさの余り、その秀人の微妙な表情の変化に気が付くことは無かった。

「でも・・そのかわり・・僕の子供で無きゃ・・駄目だな・・」
秀人はゆっくりと立ち上がり、一瞬のことにキョトンとしている義母美紗緒を見つめながら、ニヤリと卑猥な笑みを浮かべる。
その秀人の怪しい魔性の光を放つ目に見つめられ、義母美紗緒は金縛りに会ったかのようにその場に無言で立ち竦むのであった。


続く

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