淫惑妻一夜限りの情事(前編)
「ふうっ・・やっと落ち着けたわ・・」
カウンターに越し掛け水割りを注文すると摩璃子はタバコを燻らせる。
出張で東京まで出かけて来た夜には必ずこのホテルに宿泊し、ホテルのバーで一人静かにグラスを傾けるのが最近の摩璃子にとっての唯一の楽しみになっていた。

摩璃子は女優の余貴美子に似たムッチリとした肉体をもてあました熟女妻である。
病に倒れた夫の変わりに事業を引き継ぎ、仕事に夫の看病、子供の世話にと、日々時間に追われている摩璃子にとっては、このホテルのバーが心休まる掛け替えの無い空間なのだ。
今夜も得意先の接待を速めに抜けだし、一度部屋でシャワーを浴びてさっぱりしてから、ゆっくりと飲もうとしていた。

「いつも一人では・・寂しい・・・時には素敵な男性と・・そして・・行きずりの一夜・・なあんて・・ウフフ・・」
摩璃子が心の中で瞑想に耽っていると、カウンターの横に一人の素敵な中年の男性が越を降ろした。

「お一人ですか・・」
「ええ・・」
「お仕事で・・」
「ええ・・まあ・・」
ありきたりの形から始まった二人の会話であったが、何時しか盛り上がって行ったのだった。

男の名は南出俊哉。
彼もまた出張で、今夜は一人で飲んでいると言う。

さわやかな雰囲気と軽快な会話に引き込まれながら、摩璃子の妄想が少しづつ膨らんでいき、摩璃子は大胆になりつつあった。
今の摩璃子は心身ともに疲れ果て、何かに溺れなければ壊れそうなまでに追い込まれていたのだった。

「よろしかったら・・お部屋で飲みなおしません?・・・・」
自分でも信じられないような大胆な発言が自然に口を突いてでてしまった。
「・・ええ・・よろしいんですか・・」
南出俊哉は一瞬、驚きと戸惑いの表情を浮かべながら、摩璃子の顔を見やり、視線を摩璃子のグラスを持った手元に落とした。

左手の薬指に嵌った指輪に俊哉の視線を感じた摩璃子は、
「人妻では駄目かしら・・」
怪しい流し目を俊哉に送りながら甘い声で囁き、俊哉の手の上に自らの手をそっと添えた。
俊哉は黙ったままニヤっと笑い、誘うような視線で摩璃子を見つめながらゆっくりと立ち上がった。

「奥さん・・部屋まで待てない・・」
エレベーターのドアーが閉まるや否や、俊哉が後ろから摩璃子を抱き締め、耳元で甘く囁く。
「駄目だわ・・人が・・」
甘える仕草をしながら顔だけで振り返った摩璃子の唇を俊哉の唇が素早く塞いだ。

「ウウッ・・ああ・・・私も・・我慢できない・・」
後ろから抱き締められ豊満な乳房を揉まれながら窮屈な体勢で唇を重ねた摩璃子は、自ら積極的に舌を絡め激しい口づけを交わしながら己の女の園が濡れてくるのを感じていた。

続く

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