15分間の密戯 T
「あら嫌だ・・痴漢だわ・・」
千亜紀は小さく体をくねらせながら、自分の下半身を撫で回す男の手から逃れようとするのだが、何せ満員電車の人込みの中、全く体の自由が効かなかった。

「あなた・・痴漢よ・・助けて・・」
声を出そうとしても恐怖の余りに声を出すことが出来ないでいた千亜紀は夫正明に救いの手を求めるように、満員の車内の中にその姿を目で追い求めるのであった。
しかしながら、やっとの思いで捜し求めた千晶の目線の先には、満員の人込みの中で目を閉じたまま車両の揺れに体を任せる正明の姿があった。

樋渡千亜紀は国分佐智子に似た上品で落ち着いた雰囲気を醸し出す新婚早々の美人妻だ。
結婚して私鉄沿線の郊外のマンションに新居を構えたのだが、取り敢えず子供が出来るまではということで仕事を続けている。
毎日、夫と伴に満員電車に揺られながら出勤しているのだが、ここ数日前から何か変な雰囲気を感じ初めていたのだが、今朝になって初めてそれが何であったのかを実感させられたのであった。

千亜紀が乗車するN駅から下車するK駅まで急行電車は15分程ノンストップで走り続ける。
その間は殆ど身動きが出来ない状態で車内の動きに身を任せるしかないのが実情だった。

千亜紀が抵抗を示さないことをいいことに、男の手はどんどんとエスカレートして行くのだった。
スカートが余り好きではなかった千亜紀の出勤時のファッションはもっぱらパンツスーツが多かったのだが、そのパンツの生地越しにその引き締まった太ももからやや小さ目のヒップを舐め回すように卑猥な動きで這いずり廻っていた痴漢の手はやがてゆっくりと千亜紀の下半身の前方へと回り込むと、やがて何かを確かめるようにゆっくりと千亜紀の大事な女の部分に軽くタッチし始めるのだった。

「やだ・・まさか・・そこは・・駄目よ・・」
心の中で小さく叫び声を上げながら、不自由な動きの中でやっと自由を取り戻した右手で男の手を掴み取ると、その痴漢の卑猥な手の動きを静止させようとするのであった。

しかしながら痴漢の手はその静止を振り切るように、益々大胆に千亜紀の秘部をパンツの布越しに弄り続けるのであった。

「まもなくK駅です・・・」
千亜紀の窮地を救う様に、車内放送が流れた。
ホッとする千亜紀の耳元で
「奥さん・・明日はスカートにして下さいね」
何と表現したら良いのか解らないような異様な声が囁かれた。

やがて電車はK駅のホームに滑り込み、ドアが開かれるとドッと流れ出した人込みと伴に千亜紀はホームへと吐き出された。
そしてホームを見渡した千亜紀の視界の中にはそれらしい妖しい人物の姿は無かった。

「まさか?・・でも・・ひょっとして・・」
何か嫌な予感がした千亜紀は、オフィスに着くなりトイレへと駆け込んだのだった。
そして脱ぎ取ったショーツを手に取り、恐る恐る見つめた千亜紀の目線の先には、その敏感な秘部を覆い隠していた個所に、微かにではあるが己の愛液で濡れた痕跡がはっきりと確認されたのであった。

そして同時に、
「明日はスカートにして下さいね」
耳元で囁かれた痴漢の、あのおぞましい声が蘇ってくるのであった。

そして、次の朝・・・・・・。


続く

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