愛の墓標  U
そしてあの夜以来、こうして人目を避けながら真昼のオフィスビルの片隅で叶わぬ愛を確かめ合う二人であったが、このような形でしか愛を確かめることが出来ないでいることに、若い健介はそろそろ我慢の限界を迎えつつあった。

「秋穂さん・・あなたが欲しい・・」
「いや・・ここでは・・いや・・」
やがて荒々しくスカートを捲くり上げショーツに手を掛けようとする健介であったが、秋穂は逃れる様に甘く体をくねらせながら、
「ダメ・・代わり・今・お口でしてあげるから・・それで・我慢して・・ね・・」
そう囁くと、秋穂は健介の足元の跪きズボンのチャックを下ろし、ギンギンに欲望をみなぎらせたペニスを露にすると、ゆっくりと舌を這わせ始めるのであった。

実は秋穂も健介と同じ気持ちで一杯だったのだ。
しかしながら、嫉妬深い夫の手前、なかなか自由になる時間が作れない。
ましてや主婦と幼い子供達の母親の両役をこなす今の秋穂には、夜に家を空けて二人で合う時間を作ることなど、まさに不可能に近かい状態である。

「一度ゆっくりと愛し合いたいです・・」
「ああ・・私もよ・・でも・・だめ・私は人妻だから・・出来ないの・・解ってちょうだい・・」
「そうだ・・秋穂さん・・何処かに旅に出ましょう・・何処か静かで二人きりになれる処へ・・」
「ああん・・そんなの無理だわ・ジュジュ・主人が許してくらないわ・・ジュジュジュ・・」
健介の肉棒を愛しそうに口に咥えたまま、寺島しのぶに似た顔に微かに官能的な笑みを浮かべ、秋穂は健介を見上げながら切なそうに呟く。

「いや・・行く・・絶対に行く・・今度の連休に・・・決行だ・・・」
健介は仁王立ちになり、人妻秋穂の絡みつくようなネットリとしたフェラを楽しみながら強く心に決めるのであった。
そして目を閉じると、その脳裏に鄙びた温泉宿の露天風呂で、白い肌を晒した全裸姿の秋穂からしっとりとしたフェラを受けている自分の姿を思い浮かべ始めていた。


「遅いな・・大丈夫かな・・」
そしてその連休初日の朝、新宿駅のプラットホームに落ち着かない健介の姿があった。
躊躇する秋穂を半ば強引に説き伏せ、今当に二人の不倫旅行が決行されようとしているのだった。
しかしながら、約束の時間になっても愛する秋穂が姿を見せない。
「やはり・・出掛けにご主人に引き止められたいるのだろうか?・・・・」
何度も時計を見ながらホームを行ったり来たりとウロウロするだけで、健介にはどうすることも出来なかった。
嫉妬深い夫の許しを得ることが出来携帯を持っていない秋穂とは連絡の取り様が無いのだ。

「ジリ・ジリ・ジリ・・・」
やがて発車の時刻を告げる無情なベルの音がホームに響き渡り始める。
「ああ・・ダメか・・」
健介が諦めかけた当にその時、息を切らせながら階段を急いで登ってくる一人の女性の姿が健介の目に飛び込んできた。
「・・秋穂・・さ・ん・・・」
それは紛れも無く健介が待ち焦がれていた愛する秋穂の姿であった。

間一髪、ドアが閉まる寸前に二人は手に手を取り合って列車の中へ飛び込むことが出来た。
「ごめんなさい・夫がなかなかOKしてくれなくて・・」
「もうダメかと思いましたよ・・でも・・良かった・・嬉しいです・・こうして秋穂さんがきてくれて・・」
デッキの上で人目も憚らず、二人は強く抱きしめ合うのであった。
そして二人は互いの目を見つめ合いゆっくりと唇を重ねると、やがて互いの唇を貪り合う様に激しい口づけを交わすのであった。


続く

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